第107回 戦国時代、鷲宮神社から小田原北条氏へ贈られた鯉と鮭
更新日:2024年4月1日
問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係
秋が旬の魚といえば秋刀魚(さんま)や鰹(かつお)、鮭などを思い浮かべる方も多いと思いますが、中でも鮭は食べるだけでなく、川の遡上(そじょう)が秋の風物詩の一つとして挙げられます。今回は、戦国時代に久喜周辺でも鮭が遡上し、領主への進上物として扱われていたということを示す史料をご紹介します。
史料は鷲宮神社に伝わっている「北条氏直書状」です。この史料は天正(てんしょう)10年(1582)頃のものと推定されており、当時の領主であった小田原北条氏の第5代当主氏直(うじなお)から鷲宮神社の神主大内泰秀(おおうちやすひで)に宛てられた書状です。内容は泰秀が氏直のために新年の祈祷(きとう)をし、その時の巻数(かんず)(祈祷したことを示す一種の目録)と鯉10匹・鮭2匹を進上したことに対するお礼と、氏直がその返礼として太刀(たち)を贈ったことを伝えています。こうした進上物はたびたび贈られており、領地の主従・恩顧(おんこ)関係を確認する贈答品だったと考えられます。鷲宮神社では鯉・鮭・素麺(そうめん)などが進上物として確認されています。とりわけ鯉は一度に20匹を贈ることもあり、地元の特産品としてよくとれたことをうかがわせます。鮭についても、鷲宮神社周辺の河川まで遡上していたため、進上されたと考えられます。
郷土資料館の常設展示室には、「北条氏直書状」(複製)と当時の鯉と鮭の進上物(複製)を展示しています。ぜひ資料館にお越しになって展示をご覧ください。
北条氏直書状
鯉と鮭の進上物(複製)
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