第3回 甘棠院(かんとういん)
更新日:2018年7月25日
久喜駅の西口から徒歩約15分のところに所在する「甘棠院」は、鎌倉にある臨済宗(りんざいしゅう)円覚寺(えんがくじ)派の寺院です。
甘棠院の総門を入ると、中門前面から院の東西に100メートル、南北に250メートルの空堀がめぐらされ、北側には土塁(どるい)も築かれています。大正14年(1925)3月31日には「足利政氏館跡及び墓」として埼玉県指定史跡となっています。
足利政氏の父成氏(しげうじ)は、宝徳元年(1449)に京都より招かれて鎌倉公方(くぼう)となりましたが、関東管領上杉氏と抗争ののち古河(茨城県古河市)に走って古河公方と称し、伊豆の堀越公方(足利政知(まさとも))、関東管領の山内(やまのうち)上杉氏、扇谷(おうぎがやつ)上杉氏との勢力争いを続けました。鎌倉公方は、室町幕府の東国統治のための出先機関である鎌倉府の長で、関東管領は本来鎌倉公方を補佐する役です。
足利政氏は、父の死後、明応6年(1497)古河公方となりましたが、その後、政氏の子である高基(たかもと)・義明(よしあき)と不和となり、小山(栃木県小山市)に移り、さらにここ甘棠院に隠居したと伝えられます。
その後、永正16年(1519)館を寺院として永安山甘棠院と称し、子(一説には弟)を開山(かいさん)としました。
甘棠院の境内には「享禄四年七月十八日甘棠院殿吉山長公大禅定門」の銘を刻んだ足利政氏の五輪塔があります(享禄4年は1531年)。
甘棠院には古河公方に関係した数多くの文化財が伝承されており、さいたま市にある県立歴史と民俗の博物館に寄託・寄贈されています。その中で次の文化財が指定文化財・認定重要美術品となっています。
甘棠院
国指定重要文化財
- 紙本著色伝(しほんちゃくしょくでん)貞厳和尚像(ていがんおしょうぞう)
国認定重要美術品
- 十三仏版木(じゅうさんぶつはんぎ)
- 九曜菊散双雀鏡(くようぎくちらしそうじゃくきょう)
県指定有形文化財
- 絹本着色足利政氏像(けんぽんちゃくしょくあしかがまさうじぞう)
- はなだ糸威最上胴丸具足(いとおどしもがみどうまるぐそく)
- 源氏車紋鞍げんじぐるまもんくら(付 障泥(あおり)・鐙(あぶみ)・轡(くつわ))
- 道憲作十文字鎗(どうけんさくじゅうもんじやり)
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