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第38回 中世仏教画の逸品 絹本着色如意輪観音像(けんぽんちゃくしょくにょいりんかんのんぞう)

更新日:2018年7月25日

久喜市菖蒲町菖蒲の袋田山吉祥院(ふくろださんきちじょういん)は、奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)の開山と伝えられる真言宗智山派の名刹(めいさつ)です。

吉祥院の縁起(えんぎ)によれば、神亀(じんき)年間(724~729)、諸国巡錫(じゅんしゃく)中の行基がこの地で投宿(とうしゅく)したところ、夢枕に毘沙門天(びしゃもんてん)と吉祥天(きっしょうてん)が現れ、「薬師(やくし)の尊像を刻んで安置し、人々の病苦を救い、民生を安(やす)んじなさい」と告げられました。行基は自ら薬師を彫り、一堂を建てて像を祀(まつ)ったと伝えられています。のちの応永21年(1414)には、醍醐寺(だいごじ)の弘鑁(こうばん)が中興開山(ちゅうこうかいざん)となりました。

この吉祥院の寺宝の一つに、埼玉県指定有形文化財「絹本着色如意輪観音像」(平成6年3月16日指定)があります。

如意輪観音とは、観音変化身(へんげしん)の一つで、全ての願いを叶える如意宝珠(にょいほうしゅ)と煩悩(ぼんのう)を打ち砕く法輪(ほうりん)を手に携え、一切衆生(しゅじょう)の願いを聞くとして古来より広く信仰されてきました。

吉祥院の絹本着色如意輪観音像は、絹地に描かれた6臂(ぴ)(腕の数)の如意輪観音で、光背(こうはい)と月輪(がちりん)を背に宝冠(ほうかん)を戴き、蓮華座(れんげざ)に片膝を立てて座る半跏坐(はんかざ)の姿で描かれています。

6臂のうち、右第1手は頬にあてて思惟(しゆい)(思考する姿)を表わし、右第2手は如意宝珠、右第3手は一般に流布(ぶふ)する像が数珠(じゅず)を持つのに対し、手に何も持たずに垂下(すいか)しています。左第1手は地に触れ、左第2手は蓮華(れんげ)、左第3手は指先で法輪を支えます。

像の描写は、黄土色の像身に切金(きりかね)で衣文(えもん)線や光背、蓮華座、蓮弁(れんべん)の線脈が表現されています。濃紺色の地色や如意輪観音の自然で安楽な姿態には、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての特色がみられます。県内でも数少ない中世仏教画の逸品と言えます。

備考:絹本着色如意輪観音像は保存のため一般公開していません。

写真 絹本着色如意輪観音像(けんぽんちゃくしょくにょいりんかんのんぞう)
絹本着色如意輪観音像

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